EP-22

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何かの拍子にずきりと痛みは走るが、歩けないことはない。ヒールやパンプスを履くのは辛いが、スニーカーなどを履いてなら会社に行っても大丈夫だろうという状態にはなっている。全身の打撲もまだ所々痛みはするが、身動き一つで激痛が走った初めの頃と比べれば、かなり良くなっている。 昨日病院に行って受けた諒の診察でも、腫れも落ち着いてきていることだし、痛みが引いてきたのであれば、様子を見ながら来週後半あたりから仕事に行ってもいいだろうと言ってくれた。会社に電話をした時、事の顛末の報告を受けていた部長も、取次で出た同僚も、無理はしなくていいと言ってくれた。けれど、出社できるようになる頃には、そこそこ仕事が溜まっていそうで怖い。 「瑞月、晩ご飯はもう食べた?」 「これからだよ。お母さんが明日の分まで色々用意していってくれたの」 「そっか、そうだよね。おばさんがいたんだもんね。うぅん、これ、買いすぎたな……」 栞は買ってきた食材などをキッチンで広げていたが、それを見て考え込むような顔をしていた。 私は立って行って彼女の隣から覗き込んだ。 「全部頂いても何とでもできるけど……。なんなら、私は少しだけもらうから、後は全部お家に持って帰ったら?」 「まさか!そんなせこいことしないよ。でも瑞月はまだ本調子じゃないわけだし、こんなに色々あっても食べないか。料理するのだって大変よね。ごめんね、考えなしだった……」 「そんなことないよ。じゃあ、これ、本当にいいの?全部もらっちゃって」 「もちろんだよ!」 「それではありがたく頂くわ。栞、ありがとう」
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