EP-22

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「瑞月や凛ちゃんみたいに、ぱぱっと料理して出してあげられたらいいんだけどね。料理教室に行き始めたはいいけど、なかなか身にならない」 そう言って栞は、あははと自虐的に笑う。 「そんなことないでしょ。いつだったかな。栞が作ってくれた麻婆豆腐、美味しかったよ」 「そう言ってもらえると嬉しいけどさ」 「栞のとこ、いいじゃない。旦那さんがお料理上手で」 「うん、それは確かに。すごく助かってるよ。仕事で疲れた時とか、これから料理しなきゃならないのか……とか思わなくていいんだもん。あたしの方が残業で帰りが遅くなった時でも、ちゃんとご飯が出てくるからね」 「栞さ、小学生の時だったかな、諒ちゃんと口げんかして言ってたよね。今どきは料理ができる男子がモテるとかなんとか、って」 「そういう意味では、まさにそういう人を選んだわね、あたし」 満足そうに、けれどちょっと照れたような顔で頷いている栞を、可愛いなぁと思いながら見つめた。 すると、なんの前触れもなく栞が言った。 「で、いつからなの?」 何がいつからなのか分からず、私の口からは非常に間抜けな声が出た。 「へ?」 栞がにやにやと笑っている。 「とぼけなくてもいいから」 「だから、何がなの?」 きょとんとして訊き返す私に、栞は一文字一文字区切るようにして言った。 「お・に・い・ちゃ・ん」 「えっ!」 私は動揺して動きを止めた。 栞は可笑しそうにくすっと笑う 「あの日の病室での二人の様子。あたしが気づかないとでも思った?付き合ってるんでしょ?うちの愚兄とさ」 私はしばらく目を泳がせた後、首を縦に振って肯定した。
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