EP-25

5/6
前へ
/242ページ
次へ
「付き合っているっていう報告くらいは、少しでも早くしておいた方がまだマシかな。瑞月の予定が大丈夫なら、来週にでも実家に行かないか。今度の土日は久しぶりにまとめて休めるんだよ。でさ、その後にプロポーズの仕切り直しをさせてくれないか?」 私は目を瞬かせた。 「この前ので十分よ」 「俺がちゃんとしたいの。瑞月の思い出に残る日にしたいから」 「諒ちゃんがそう言ってくれるなら……」 「明日にでもおばさんに電話しといてよ。来週行くからって。俺もうちに連絡しとく」 「分かった。ねぇ、私たちが一緒にいるのを見たら、やっぱりみんな驚くかな」 「どうだろうな。でも大丈夫だよ、きっと」 驚いたとしてもきっと祝福してくれるはず――。 私たちは両親たちの様子を思い描いて笑い合った。 「とにかくだ。俺の部屋に来たら、仕事が終わったら真っすぐ帰ってくるんだぞ」 「でも、買い物はどうしよう?」 「そんなもの、ネットスーパーとかあるだろ。それを使えばいいじゃないか。俺が買って行ってもいいわけだし」 「なんだか、申し訳ないような……」 「リスクはできるだけ少ない方がいいだろ」 「……分かった。じゃあ、しばらくお世話になります」 「よし、決まりだ。明日仕事が終わったら迎えに来るから、それまで荷物を用意しておいて。そのまま俺の部屋に行こう」 「うん」 頷いてから私はふっとため息をついて、諒の顔を見上げた。 「ねぇ、諒ちゃん。私がこういうのに巻き込まれるのって、確か二回目だよね。恋人がモテすぎるっていうのも、困りものだよね」
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4320人が本棚に入れています
本棚に追加