EP-26

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諒は照れた顔をして笑い私の隣に立つと、きっちりと頭を下げて母にお辞儀をした。 「お久しぶりです」 諒の挨拶に、母はようやく我に返ったようだった。戸惑いを残しながらも、次第に腑に落ちたような顔となっていき、最後には嬉しそうに頷く。 「そういうことだったのね。瑞月ったら、会わせたい人がいるとしか言わないんだもの。とにかく入ってちょうだい。どんな人を連れてくるんだろう、って、お父さんも首を長くして待っていたのよ」 母の様子を見る限り、諒とのことを反対されるようなことはなさそうだ。ほっとしながら、諒と並んで母の待つ玄関へと足を向ける。彼を先に促して、私もその後に続いて中に入った。 「お邪魔します」 さすがに諒の声には緊張がにじんでいる。 私の方は照れ臭い顔で改めて母を見た。 「ただいま」 母はにっこりと笑って言った。 「お帰りなさい。諒ちゃんも、いらっしゃい。先日は瑞月が本当にお世話になって、ありがとうございました。ところで今日、そちらのお家には?もう行ってきたのかしら?」 「いえ、これからです。まずはこちらにご挨拶を、と思いまして」 「そうなの。ありがとう。さぁ、とにかくどうぞどうぞ」 「失礼します」 諒は固い声のまま軽く一礼して、靴を脱いだ。用意されていたスリッパに足を入れて、ふと周りに目をやり感慨深げにつぶやいた。 「こんな風にして、ここの玄関を入る日が来るなんてな」 「子どもの時は、結構自由に出入りしてたよね」 「今思えば、失礼だったよな」 私たちは、その頃の思い出話を口にして笑い合う。 その様子を見ていた母がくすっと笑い声をもらした。 「す、すいません」 はっとして恐縮する諒に、母は笑顔のまま言った。 「昔からずっと変わっていないでしょ?さ、リビングにどうぞ」
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