EP-3

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「ふぅん?そんなに欲しいなら、作るけど……」 「お、言ってみるもんだな。でもさ、ほんとはバレンタイン・デイって、好きな相手にチョコを渡す日なんだよな?瑞月には、そういう相手、いないの?」 「あはは、いないね」 「なんだよ、寂しいなぁ」 「彼女がいない諒ちゃんからは、言われたくないんだけどな。それにさ、好きな人がいなくたって、別に何も困らないでしょ」 「そういうこと言うのに限って、変な男を好きになったりするんだよな。ま、せいぜい気をつけろよ」 「諒ちゃんこそ、モテすぎて色んな方面から恨みを買ったりしないようにね」 私は笑って、空になった小皿を回収する。 「そろそろ戻るね。空いたお皿はもらっていくよ」 立ち上がってドアに向かおうとして、うっかりつまずいてしまった。バランスを崩しかけた拍子に、手に持っていた小皿を床に落とす。 「おっと!」 倒れかけた私を、諒が慌てて抱き止めてくれた。 「ご、ごめんね」 「気をつけろよ。びっくりした」 諒が苦笑した。 「そう言えば、子どもの頃の瑞月って、よく転んだとか言って、足首を捻ったりしてたよな」 「そうだったね。それでよく諒ちゃんのお父さんにお世話になってた」 私も苦笑で返してから、諒がまだ私を離していないことに気づく。 「諒ちゃん?もう大丈夫だよ?」 不思議そうな顔で見上げる私の言葉と視線に、諒ははっとした顔で手を離した。 「わ、悪い。とにかく、転ばなくて良かった」 「ありがと」
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