EP-諒✽2

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「俺は別に今のままでも問題ないぜ」 少しはお前が練習して作ってみれば――? そう言いたかったが、ブーメランになって飛んできそうだと思い、それ以上は口をつぐむ。 「明るく楽しい大学生活が待っている!とか言って喜んでたけど、これはまさかの盲点だったなぁ」 栞はぶつぶつ言いながら、総菜のコロッケをつつく。 「コロッケかぁ。そう言えば、瑞月のコロッケも美味しかったよねぇ」 その名前を聞いて、俺は懐かしく思い出す。 「瑞月はお菓子作りも料理も、ほんと上手だったよな。そういえば、瑞月とはこっち来てから会ったのか?」 「メッセージはやり取りしてるけど、顔を合わせたのは引っ越し前だよ」 コロッケを完食しごくりと飲み込んで、栞がにっと笑って俺を見た。 「あたし、今、ものすごくいいこと思いついちゃった」 「なんだよ、いいことって」 「あのね、瑞月にお願いしてみない?うちらにご飯作って、って」 「おまえ、それはいくらなんでも……」 さすがに図々しいんじゃないかと、俺は眉根を寄せて妹を見た。 「それだけの理由で思いついたわけじゃないよ。瑞月は一人暮らしでしょ?心細いんじゃないか、って思うんだよ。だからさ、時々ここで一緒にご飯食べたりしたら、寂しくないかなって思うの」 「なるほどな」 俺は栞の言葉に頷いた。 「確かに、それはあるかもな」
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