EP-6

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私はゼミ友達にお金を渡す。 「うん、大丈夫だよ。今日は来てくれてありがとね」 「私の方こそ、ありがとう。それじゃ、また学校で」 最後にもう一度みんなに挨拶してから、私は急いで店を出た。 車種とかナンバー、聞き忘れてた――。 そう思いながら周りを見渡して、目の前の通り沿いに停まる一台の車に気がついた。 あの車? 近づこうかどうしようか迷っていたら、車の助手席側の窓が開いて諒が顔をのぞかせた。 「瑞月」 私はその車に近づき、開いた窓から車の中をのぞきこんだ。 「諒ちゃん、わざわざありがとう。でも、どうして?」 「心配だからに決まってるだろ。まずは乗りなよ」 「うん」 私は素直に助手席に乗り込んで、シートベルトをかけた。 それを確かめてから、諒が私に何かを差し出した。 「ほら、水」 「あ、ありがとう」 わざわざ準備してくれたのかと驚きつつ、私はペットボルトを受け取った。 諒が静かに車を発進させる。 諒ちゃんの車、初めて乗るな……。 物珍しげにきょろきょろと車の中を眺めながら、私は水を口に含んだ。 諒がハンドルを握ったまま私に訊ねる。 「酒、飲んだのか」 「よく分かったね。でも一杯だけ。グレープフルーツサワーっていうのを飲んだよ」 「大丈夫か。気持ち悪くない?」 「うん。この前実家で、みんなで飲んだでしょ?今日で二回目だし。ちょっとだけふわふわしてるけど」 「そうか」 赤信号で車を止めた時、諒がぼそっと言った。 「で、いい奴はいたか?」 「ん〜、特には……」
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