EP-1

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「おっ。上手に作ったな」 大げさにも聞こえるような口調で褒められて、私は赤面した。 「形、ちょっと変なのも入ってるかもだけど……」 ごにょごにょと言い訳めいたことを言っている傍から、諒はぱくりとクッキーを口の中に入れた。 「うん、美味しい。瑞月って、こんなこともできるんだな」 「まだ一人じゃ難しくて、いとこに手伝ってもらっちゃったけど。美味しいって言ってもらえて良かった」 安心した私は、にこにこしながら諒を見た。 「ほんとにうまいよ。ありがとな」 諒もまたにこりと笑い、袋を持ち換えて私の頭を撫でた。 その様子を黙って眺めていた栞が口を挟む。 「ねぇ、瑞月。あたしにはないの?」 「もちろん、ちゃんと持って来たよ。後で一緒に食べようね」 「やった!」 喜んだ顔をする妹に、諒がため息をつきながら言う。 「栞もさ、瑞月くらい器用だったら良かったのにな。こないだなんか、目玉焼きがスクランブルエッグに化けてたよな」 「ふん、悪かったわね。あたし、まだ小学生だもん。伸びしろあるもん。これから頑張るからいいの。だいたいさ、お兄ちゃんだって料理できないじゃん」 「俺はいいんだよ。料理上手な彼女を見つける予定だから」 「何よ、それ。今どきの男子は、料理上手な人の方がモテるんだから」 「あぁそうですか。つうか、ほんとお前って可愛げないよなぁ」 「実の兄に可愛げ見せたって、何もいいことないじゃん」
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