EP-7

9/10

963人が本棚に入れています
本棚に追加
/154ページ
何度断られても諦めない、そのバイタリティというか執念というか強引さは、ある意味感心してしまう。でも、やりすぎだ。どのようにして諒のことを聞き回っていたのか、それを想像するのはとても怖い。 「本当に相手のことが好きだというなら、そういうことはやめ方がいいと思いますけど」 「でも好きだからこそ、少しでもどんなことでも、彼のことを知りたいと思うのよね」 「だからって、そんな……。自分の知らない所で自分のことを、あれこれ聞き回られるなんて、嫌だと思わないんですか?」 「だからそれは、彼のことを知りたいからよ」 「でも、彼はあなたのことを好きじゃない、迷惑だと思っているのでしょう?だったらもう諦めて、他の人を探した方がいいと思いますよ。その方がずっと前向きです」 「なによっ。知ったようなこと言わないで!」 「それに、待ち伏せだとか押しかけだとか、こういうのって、今まで以上に嫌われる原因になるんじゃないですか?健気だなんて思う人はいませんよ。だってこんなの、ただのストーカーでしょ?怖いだけですもの」 「なっ……」 彼女の表情が険しくなったのを見て、私ははっとした。 しまった……。 言い過ぎたとは思ったけれど苛立ちが収まらず、私の口は止まらない。
/154ページ

最初のコメントを投稿しよう!

963人が本棚に入れています
本棚に追加