EP-1

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私はため息をつきながら、目の前で繰り広げられている、掛け合いのような兄妹の言い合いを眺めていた。二人はいつもこんな感じなのだ。仲がいいからこそなのは分かっているけれど、そろそろ止めた方がいいと思った。 「瑞月みたいな素直で可愛い妹がほしかったよ」 「ちょっと瑞月、今の聞いた?お兄ちゃん、瑞月を妹にしたいんだってさ。瑞月にあげるよ、こんなお兄ちゃん」 止めるタイミングを見計らっているうちに、二人の口げんかに私まで巻き込まれ始めたようだ。 「ちょっと、二人とも、そろそろいい加減に……」 言いかける私を見て、栞はふくれっ面をした。 「まったく、瑞月もこんなお兄ちゃんのどこがいいのかしら」 「え、どこって……」 一瞬戸惑ったものの、思わず私は素直に答える。 「だって、諒ちゃんって優しいから」 そのひと言が、火に油を注いでしまうことになった。 「優しいのは瑞月にだけだよ。あたしにはこんなんだよ。ほんと、いつも口うるさいんだから」 「お前がそういう可愛くない性格してるからだろ」 「もうっ、二人ともやめてよ!本当は仲良しなくせに」 私は苦笑いしながら、二人の間に割って入った。 「栞、宿題始めようよ。終わんなくなっちゃうよ」 「あ、やだ、そうだね」 私の言葉に、栞はやっと今日の目的を思い出したようだ。それから、諒を追い払うかのようにしっしっと手を振る。 「ほら、お兄ちゃん、早く出てって」
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