EP-9

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「あはは、確かにそうだよな」 諒は笑った。それからすぐにその笑いを収め、柔らかな眼差しで私をじっと見つめた。 「本当に、ますます綺麗になった」 「そ、それはどうも、ありがとう……」 戸惑った。心の奥をくすぐるような、しみじみとした言い方をされて、どぎまぎしてしまった。 「綺麗になったのは、もしかして恋人がいるせい?」 あまりにさらりと尋ねられたものだから、私も反射的にさらりと答えた。 「うん。いるよ」 諒の目が僅かに開かれた。頬には戸惑いがにじんだようにも見える、複雑そうな笑みが浮かんだ。 「……へぇ、そうなのか。その人はお前のことを、ちゃんと大事にしてくれているのか?」 「うん。私はそう思ってるよ」 「結婚、考えてるのか?」 「どうかなぁ。付き合ってそろそろ一年くらいになるけど、そういう話をしたことはまだないわね。でも、そうね。私は彼なら、って思ってる」 「そうか。もしも決まったら教えてくれよな。その時は盛大に祝ってやるからさ」 「そうだね。その時が来たらね」 私はふふっと笑うと、お色直しを終えて席に戻って来た栞の方へ目を向けた。 「私、栞と写真撮ってくるね」 「あぁ、行ってこい。……なぁ、瑞月。今度また、みんなで飯にでも行こうぜ」 「いいわね。でも、一番忙しいのって諒ちゃんなんじゃない?時間ができたらぜひ連絡して。楽しみに待ってるね」 その時、諒の笑顔が翳ったことには気づかないまま、私は栞の元へ向かった。
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