プロローグ

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プロローグ

兄のようにも思いながら慕ってきた幼馴染。 男をむき出しにしたその顔を見たのは初めてで、混乱しながらもぞくぞくした。 恋人役、やってくれないか。 そんなばかばかしいとも思えるセリフを口にしながら、彼は潤んだ瞳で私を優しく見下ろした。 それが単に本能的に欲情した結果だと思いはしても、女として本当に愛されているのではないかとつい錯覚を起こしそうになる。  こんなお前、俺だけのものしておきたい。 私を求めるような言葉を、彼は耳元で熱く囁いた。 とめどない彼の熱情に翻弄されて、私の心はかき乱されてしまう。 こんなのだめなのに。 この先に突き進もうとするのを止める自分の声が、頭の片隅で微かに聞こえた。けれど押し寄せる快感の波に抗えず、私は彼と繋がり、彼の名を呼び、彼を全身で求めた。
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