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「私、なつめといいます。バニーさん、そう呼んでもいいですか?」
妖精の名前はとてもややこしくて、発音が難しいと聞いたことがあった。
「バニーさん?」
首を傾げて思案する姿も、とても優美で愛らしい。
バニーさんが考えている間に、足首を掻くふりをして、靴下の中にハイヒールを押し込んだ。
「ええ、構わないわ。ところでなつめさん、これはとても重要な質問なんだけど。このお家に猫はいるかしら?」
「いいえ。猫は飼っていません」
ヨークシャテリアのペペならいるけど、黙っていた。バニーさんは見るからにほっとした表情で、「よかった」と呟いた。
「それではなつめさん、今日からよろしくね」
「今日から? ということは、私の家に滞在してくれるんですか?」
バニーさんは微笑んで、バレリーナのようにお辞儀した。
「どうぞよろしく」
嬉しさで頭がぼうっとなった。妖精と一緒に暮らせるなんて、なんて素敵なんだろう!
薔薇色の至福に浸っていた私は、大切なことに気付いた。
「バニーさん、喉は乾いていませんか? お腹は? 私、お母さんに何かもらってきます」
お客様には、おもてなしをしないと。バニーさんの「おかまいなく」という声を背中に部屋を出た。
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