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するとそこに小柄な少女がやってきた。
桃色がかったふわふわの金髪に花冠をかぶり、白い清楚な衣装を身にまとった大きな碧い瞳の一見愛らしい娘だ。背中から生えた純白の大きな翼が印象的。
「うげ、エリスじゃないか。いったい何しに来たんじゃ?」
「うわ、本当だ。姉上がわざわざ来たとなるとろくなことにならない悪寒が」
……そこんとこは予感じゃないのか、予感じゃ。
「うふふ。あなたとっても強いのね」
相変わらず槍をぶんぶん振り回しているアテナにエリスが鈴を振るような可愛らしい声で話しかけた。
垂れ気味のサファイアみたいな目を三日月形に細めてにっこり笑い、高く澄んだあどけない声で話すエリスは、小柄で華奢な身体つきや背中に輝く白い羽もあいまって、天使か妖精のように清楚で可憐だ。
……本性を知らなければ……。
「もちろんだっ!!あてなはけだかいいくさのかみ!そんじょそこらのかみやまものにまけるわけにはいかないのだっ!!」
えっへん、とつるぺたんな胸を張るアテナは掛け値なしに可愛い。
シルバーグレーの猫目をキラキラと輝かせ、太陽みたいににぱっと笑う顔は見ているだけで胸が温かくなる。こいつは本性も唐竹割にしたようなざっくりばらんばらんな裏表のない娘だから、いちいち言動の裏を考えて怯える必要がないのがイイ。
「そこは父上、竹を割ったようにさっぱりとした、ざっくばらんな性格ではないでしょうか。確かに何でもざっくりバラバラにしそうですが、そこまで言ってしまっては身も蓋もありません」
……やかましい。底と枠は残るだろうが。
他人の破滅と苦痛を喜び、常に他人を陥れて争わせようとしている誰かさんよりはよっぽどマシだろう。
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