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アテナたん爆誕
あ~ なんか頭痛い、ガンガンする。
ここ数か月ずっと頭いたかったんだけど、最近特に酷くなってる気がする。いやもう、何か頭蓋骨を内側からがっつんがっつん叩いてるんじゃないかってくらい痛い。気のせいかな?なんか頭の中で「出せ~」とか「ここあけろ~」とか言ってる声がしてる。
「父上、いかがなさいましたか?顔が変ですが」
そこは顔色が変、じゃないのか?
「おおヘパイストスか。いや頭痛が痛くてたまらんのだ」
「父上そこは頭が痛い、か頭痛がたまらん、でしょう」
「揚げ足取りすんなし。それより人が苦しんでるとこに声かけてきたんだからなんとかしろ」
「わかりました」
「ちょ、まてその斧なんだ……ちょ、ストップストップ!!」
「いいから動かないでくださいよ。手元が狂うでしょう」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁ」
ざっくり
「やっとでられた~!ははうえのかたき~~!!」
「おいこらいきなり何すんだ!!」
「頭が割れるように痛いようだったので、実際にかち割ってみたらどうなるかな、と思いまして」
「本当にかち割るやつがどこにいるんだ!?」
「ここにおります。神々の王がそのくらいの些事でガタガタ騒がないでください。見苦しい」
いや、「それくらいのこと」じゃない。いきなり父親の頭を斧でかち割るのは断じて「そのくらいの些事」じゃないぞ。
「それよりコレどうすんですか?」
「えい!えい!!」
くっそ。見えないことにしてたのに……
息子のやつ、ワシの頭のまわりを飛び回るちっちゃな何かを指さした。
「まぁ、こんなのが頭の中にいたらそりゃ痛くもなるでしょうね」
大仰に肩をすくめながらわざとらしくため息なんぞをついてみせる。我が息子ながらムカつく。その間にもその何かは
「ははうえのかたき~!かくご~!!」
かわいらしい声で何やら叫んでおる。ご丁寧にきっちりと鎧兜を着込んで、ちっちゃな身体の倍くらいありそうな槍をぶんぶん振り回しているのだ。
もっとも掌サイズのそれがいくら完全武装して暴れていても微笑ましいだけでちっとも脅威を感じないのだが。
「さすがにマジで頭蓋骨内側からガンガン叩かれてるとは思わんかった」
「父上、とりあえず割った頭くっつけましょうよ。なんか白っぽいもんがはみ出してるし」
「それもそうだな。アレをどうするかはそのあとだ」
頭痛の原因はなくなったはずなのに余計に痛くなってきた気がする頭を抱え、うんとこせっとくっつける。横目でぶんぶん飛び回るアレを睨みつけながら。
なんだか面倒なことになりそうな予感しかしない。
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