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ラスト
「俺達は、生きているのか?」
「あれは……聖龍様……助けに来てくれたのか……」
すると、1人の兵士が……
「私は、見ていました!
あのドラゴンは、リオンと呼ばれていた冒険者です。」
「なに! 彼が聖龍様の正体……」
「彼が黒龍に負ければ、この国は終わる。
いや、世界が終わるやもしれん……」
「彼が黒龍を倒してくれる事を願いましょう。」
*
そして、龍神と化したリオンを見た黒龍はーー桁魂咆哮を上げると閃光のブレスを放って来る!
リオンは、それを自分もブレスで相殺するとーー黒龍へと襲いかかった。
2頭のドラゴンの戦闘は、大気を揺らし大地を破り……この世の天変地異そのものであった。
そして、桁魂と音爆煙の中からボロボロになったドラゴンが2体……
劣勢に立っているのは、リオンの方であった。
ベルの為に、生命エネルギーを消費した為に
あと一歩ーー黒龍を追い詰め切る事が出来ないでいた。
しかし、睨み合う。
2頭のドラゴンは、最後の時を迎えようとしていた。
黒龍が、溜め込んだエネルギーをブレスに変えて放出する。
それを同じくブレスで迎え撃つリオン……
2頭のドラゴンのブレスはぶつかり合い!
物凄い衝撃と共に、爆風と高熱を撒き散らす!!!
ぶつかり合う閃光は、ジリジリとリオンの方へと詰まっていく……
そして、黒龍のブレスがリオンを包み込むとーーリオンは、爆煙の中から煙を上げながら地上へと落下していく。
意識を失ったリオンに、トドメを刺す為に
黒龍は、魔力を溜め始めた。
それを見た兵士達は……
「聖龍様が、負ける……」
「世界が、終わる……」
その時、1人の少女がリオンの元に駆け寄る。
「あの子は、聖龍様の仲間の少女……」
「今更、聖龍様に回復魔法をかけた所で
我々の魔法では、到底回復など出来ない。」
兵士達は、その少女を見守る事しか出来ない。
*
「リオ……リオ……リオン!!!
起きてーー
そして、私を食べて回復してーー!!!」
その言葉に、聖龍となり自我を失っているリオンは、ベリアルを食べると……
聖龍の体からは、魔素が溢れ出して来た。
それに気づいた黒龍は、溜めていた魔力をブレスとして放つ。
それは、先ほどリオンとぶつかり合っていた物より! 大きな力となってリオンに襲いかかる。
しかし、ベリアルを食べーー魔力を回復させてリオンは、それを迎え撃つようにブレスを放つ……
またもや、ぶつかり合うーー2頭のドラゴンのブレスは、先程より激しく衝撃を放つ。
地面が剥がれ……
その衝撃に巻き込まれた兵士達は、吹き飛ばされる。
*
「ぁぁ……やっと、私の役目が終わる……
リオンと会えなくなるのは、少し寂しいけど
彼の為に、彼の力になれるのなら本望」
すると、ベルの前に思念体となったリオンが現れる。
「……ごめんな。ベル……君を食べないと言ったのに、結局はーーこんな事になってしまって…………」
「良いのよ。
リオ……私は、貴方がいない世界など耐えられない。
ならば、貴方と一つとなり。
共に生きる事の方が、何倍も幸せだから!」
「……俺は、この先……君の居ない世界で生きて行かなくてはならないのか……」
「そんな事は、無いはーー私は、貴方の中にいる。
それを忘れないで……」
「ぁぁ……そうだな。」
「その為にも、2人で黒龍を倒しましょう。」
「ああ……
この先、こんな思いを誰もしなくて良い様にーー今ここで、あいつを倒す!」
「行きましょう。リオン!」
「ああ、行くぞ! ベル……」
そして、聖龍は光り輝き!
黄金の光を放つと、黒龍のブレスを弾き返して行く!!!
その光は、黒龍を包むとーー跡形も無く消し去った。
その後、聖龍は輝きが収まると
力を使い果たしたのか、地面へと倒れ込んだ。
そして、聖龍から光の粒が舞い上がると……
ドラゴンの体は消え。
その光の粒の中から2人の人間が姿を現す。
「……どう言う事だ!?」
「私達、生きているの?」
「しかも、何故!? 裸!!!」
「おおーいー! お前達……大丈夫かぁ?」
そこへ、ハクがやって来た!
「ハク! 俺達は、どう言う事だ!?」
「まぁ……あれだ! 我が授けたドラゴンの力を全て使い果たしてしまったと言う事じゃな。」
その為に、ドラゴンとしては異物でしかない人間部分のリオンとベリアルが弾かれたとこ事であった。
「と言う事は、もう……俺には、ドラゴンの力は無いという事になるのか?」
「そう言う事じゃな。」
「なら……ベルは、もう一緒に居てくれない……!?」
「そんな事、ある訳ないでしょ! リオーー
初めから、私はーー貴方の物と言ってるんだから。」
「よかった〜」
「そんな事より。
2人とも、早く逃げた方が良いのではないのか!?
人間とは、弱いからのぉ……
お前が、ドラゴンになれると知れば危険視されて殺されるやも知れん。
今のお前に、それに対抗する手段も術も残っておらんからな。」
「それは、マズイーー!!!
そんな奴らが集まって来ては、ベルの裸が見られてしまう!
何としても、阻止しなくてはーー!!!」
「そこですか? リオ……」
「当たり前だーー!!! ベルこっちに来い。」
そう言うとリオンは、ベルを抱きしめて……
「ゔぬぬぬぬぬぬぅ〜……翼が出ない……。」
「当たり前じゃ! 全ての力を使い果たしたと言ったばかりではないか。」
「でも、このままでは……」
「しょうがない。
我が運んでやろう……」
そう言うと、ハクはリオンの背中に張り付くと翼の代わりを補った。
「おおー!!! ハク、助かる。」
「やはり……2人は、重いノォ〜……」
「頑張って、ハク……私は、リオンに抱きしめられて幸せよ。」
「ベル……」
「お前達、このまま落とすぞ!」
「いや、やめてくれ! マジでーー死ぬから。」
そうして、2人と1匹の旅は続く……
____________________________________
あとがき
最後まで、ご視聴頂き!
ありがとうございました。m(_ _)m
こちらの作品は、終わりなき長編の息抜きとして短編を書き始めました。
なので、設定は本当にありきたりな!
ドラゴン、冒険者、生贄の少女、黒龍から世界を救う。
その様、簡単な物にしました。
短編なので、簡単に書いてしまおう!
そう思い始めたのですが……
途中で、私に異変が起きました。
すぐに終わらせるつもりで書いていたのですが、頭の中で勝手に長編になって行ってしまいました。
これは、マズイ! と思った私はーーこれは、短編! これは、短編と自分自身に言い聞かせて終わらせる事にしました。
ですので、最後の頃は文章が端的になり……
少し読み難いかと思われます。
完全に、私の力不足です。
最後まで、物語を上手くまとめるのは難しい事に気が付きました。
ですが、ファンタジーで長編しか書いた事のない私が、短編でもーー物語を完結させる事が出来ました!
これは、貴重な経験で今後に活かしたいと思っております。
これからは、書きかけの長編の続きを書こうと思っております。
ですが、また! 息抜きに短編を書くかも知れませんが……
その時は、どうぞ生ぬるい目で見守って下さると助かります(*´ω`*)
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