奇跡的に

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奇跡的に

そして、俺は目を覚ました。 「……痛みが…………」 「おおー……死なずに生き残るとはな。」 「おい、コラ! 下手したら死んでたんかい!」 「一割、程度だ……」 「一割か……一割なら、まぁ〜大丈夫かぁ?」 「生き残る可能性が、一割じゃな。」 「そっちが、かい!!! 一割って、生き残ったのーーほぼほぼ奇跡じゃねーか!」 「まあ、生き残ったのじゃからいいじゃろ。」 ふざけんな! と、叫ぶかと思ったが…… 自分の体の異変に気づくとーー 「な……何だこれ!? 体が……大きくなっている。」 着ていた装備が小さくなったと思うくらい。 ピチピチになっていた! 「力に代用する為に、変化したのだな。」 「おお!!!  これは、力がみなぎってくる様な気がする。」 「で…‥お前には、これからやって貰いたい事がある。」 「えっ! 聞いてない……。」 「何の代償も無しに、最強の力が手に入るとでも思ったのか?」 「いや……まぁ、確かにーー でも、それなら先に言ってくれよ。」 「細かい事は、いいーー お前に、やって貰いたい事は一つじゃ。 暗黒龍を見つけて殺す事。」 「暗黒龍……。 それって、ドラゴンだろ? 仲間じゃないのか?」 「あやつだけは、違う。 あやつは世界を滅ぼそうとしている。 我は、それを止める為にーー奴に挑んだ! しかし、結果は……この通り動けなくなった体を治す為に人間の力を借りた。 だか、回復には至らず……お前のに頼む事になったのじゃ。」 「いや、ドラゴンである。 お前が勝てないなら俺が勝てるはずないだろ! それに、お前だって人間を食べてたじゃねーか。」 「言ってる意味が、よく分からんが…… 人間の命を大事だと思っておるのは、人間だけじゃ…… 我々を含め他の生物は、人間など豚や牛とーーそう変わらん。 我も好き好んで人間を食べていた訳では、ないわ。 世界を守る為じゃ…… そして、その使命をお前に託す。」 「いや、勝手に託すな! 誰が好き好んで、そんなヤベー! ドラゴンと戦うか!!!」 「大丈夫だ! 我は、1人だったから負けたのじゃ。 お前なら、必ず倒せる。いや、倒してもらわなければならない!」 「いや、勝手に決めるなよ。」 「我は、そろそろ行く……頼んだぞ…………。」 そこへ、1人の煌びやかな衣装に身を包んだ。 長い白髪の宝石の様に綺麗な瞳を持った美少女が現れた。 「白くて綺麗な髪……」 ついつい声が出てしまった。 「あなたの髪も白くて綺麗ですよ。」 「俺の髪が白い!? 何だこれ!? これも、力の影響か!?」 「あの〜……そのドラゴンが白龍様でいらっしゃいますか? 私は、今回の生贄のベリアルでございます。」 「あ……えっと……ドラゴン……いや、白龍さん。 この子は、どうするんですか?」 「好きにせよ。 我の力は、お前に移した! ならば、今はーーお前こそが白龍の本体である。 食べるなり、殺すなり、好きにすると良い。 どの道、生贄が村に戻っても殺されだけだ……」 その言葉を残して、白龍は目を閉じた。 「では、新たな白龍様……私を食べて下さい。」 そう言って、女の子は台座に横になった。 「いや、待て待て! 人が人を食べるなんて、ありえないだろ。」 『人が……人を食べるなんて………… いや、人が人を食べる。 行動は、違えど……可能な事が一つある。』 「君……本当に、良いのかい? 僕に、食べられても……ウヒ。」 「はい。 私は、その為に……ここに来ました。 覚悟は…………しています。」 そして、静かに目をつぶる少女。 『本当に……良いのか? 彼女いない歴16年=年齢の俺が、今日ーー男となる。』 「君、年はいくつ?」 「14歳です。」 『14歳……ギリギリセーフだよね。 貴族なんかは、13歳で結婚とかするし……』 そして、俺はーー覚悟を決めた! 「分かった。 安心して、死ぬ訳ではないから……ィヒ…… では、いただきまぁ〜〜〜す!」 俺は、少女に襲いかかった。
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