プロローグ

1/3
前へ
/236ページ
次へ

プロローグ

 ちょっと待って! これはどういう状況⁉  私は寝室のベッドに組み敷かれ、超絶イケメン社長様、いや右京様に見下ろされている。  そして、上から右京の顔が私に近づいてくるではないか。 「ちょ、ちょちょちょ。社長‼」 「ん? 呼び方間違ってるぞ」 「右京! 待って、なんでこんなことに⁇」 「俺は十分待ったぞ」 「そうじゃなくて、私達は婚約契約ですよね?」 「今度はしゃべり方までおかしくなってる。婚約の契約だから、いずれは結婚するってことだろう?」 「そんな。話が違う‼」 「一緒に住んで一カ月、契約を解消する理由は全くなかった。もういいだろう?」 「良くない!」 「何が問題だ? 莉子も俺のことをかなり意識してるじゃないか」 「……」  そうなのだ。最初は契約を解消してもらうことしか考えていなかったのに、一カ月で情が湧いてきた。いや、愛情が芽生え始めている。いや、もう芽生えるどころか成長している。  でもその分、身分の違いも痛いほど感じていて、素直になれない自分がいるのだ。  そこへ右京が強硬手段を打ってきた。 「もう素直になったらどうだ? 俺は莉子を諦めるつもりはないし、莉子も少なからず俺を意識している」 「……」  言い返す言葉が見当たらずに黙り込んだところへ、右京の唇がとうとう私の唇に重なった。
/236ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6326人が本棚に入れています
本棚に追加