社内ミスコン?

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社内ミスコン?

「いらっしゃいませ」  満面の笑みでお客様を出迎えるのが私の仕事。 「ねぇ、君彼氏いる?」 「お客様、社名とお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか。(はぁ? テメェ、ここへ仕事をするために来てるんだろう? まずは名前を名乗れ)」 「あっ、俺に興味を持ってくれた? はい、これ名刺」 「(コイツ……)葉山様、営業の田中と14時からのアポでお間違えないでしょうか?」 「そうそう」 「あちらのブース2で座ってお待ち下さい」 「せっかくだから、田中君が来るまで話をしようよ」 「(こちとら仕事中なんだよ)すみません。仕事中ですので……」  顔には笑顔を貼りつけて、心の中で悪態をつきながらも、しつこいお客様を見送り「はぁー」と思わずため息が漏れる。 「プッ、莉子お疲れ」 「ウザイわ〜」 「令和の時代に、昭和かってツッコミたいやつ多いよね」 「ホントそれ」  ここはナンパの名所ではなく、広告代理店の最大手『ワールドパブリッシング』の顔である受付。私、松田莉子と同期の寺内ここあが二人で担当している。私達のどちらかが休みや、休憩の時は総務部から応援に来てくれるが、基本は二人体制だ。
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