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「この部屋のものは好きに使って下さい。コーヒーも自由に飲んでいただいて構いません。足りない物があれば、遠慮せず仰って下さい」
「はあ、ありがとうございます」
足りない物などあるのだろうかと思うくらい、何でも揃っていそうだ。綺麗に整頓されている部屋は、私の中の外崎さんのイメージにピッタリだ。
「何か聞きたいことはありますか?」
「外崎さんはA型ですか?」
「ブハッ、まさか血液型を聞かれるとは思いませんでした」
――ガチャ
「おい!」
私達が廊下から入ってきた扉ではなく、室内にもう一か所ある扉から社長が現れた。
「おはようございます。本日からよろしくお願いいたします」
「あ、ああ」
「なにか御用でしょうか?」
「えっ、いや……。コーヒー」
「畏まりました」
それだけ言うと、入ってきた時の勢いとは違い、そっと扉を閉める。
「ククッ」
「何か面白いことがありましたか?」
「いや、ククッ。社長のコーヒーのお好みをお教えします。そうそう、先程の質問は正解です」
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