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「どうかしましたか?」
「いや、社長をからかうのが面白くて」
辛うじて社長と呼んではいるけれど、今は上司というよりは友人をからかっているようにしか見えない。
私にはわからないけれど、二人の間でなにかあったのだろう。
始業時間になると、朝ののんびりとした時間が嘘のように、次から次へと仕事に追われる。社長へのアポの連絡が引っ切りなしに入り、スケジュールの調整だけでも一苦労だ。
外崎さんは涼しい顔で仕事をこなしているけれど、この状態では秘書室へ戻る暇もないのがわかる。上司が不在がちの秘書室の、秩序が乱れてしまうのも無理はない。
受付で培った応対と人脈で、電話の相手の顔を浮かべながら会話をする。すでに面識のある方も多い。
社長への連絡は、よほどの親しい間柄ではない限り、一旦社長秘書室へつながるようになっている。もし私が不在にしていても、秘書室に転送されて対応してくれるということだ。まだ、秘書課のお姉様方とは直接顔を合わせていないけれど、どんな人達かを知っているだけに不安要素ではある。
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