新生活

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 きっと私が食べやすいように、席を外してくれたのだろう。気遣いを無駄にしないように、昼食を食べることにした。    外崎さんが出て行き、一人になった室内はシンと静まり返っている。隣の社長室に社長がいるはずなのだけど、音が漏れ聞こえることはないようだ。昼食も取らずに仕事をしているのだろうか。    社長を気にしても、私に何かできるわけでもなく、昼からの仕事に備えて腹ごしらえをする。    干物生活の私でも、少しでも節約するために最低限の料理はするのだ。オフィス内の食堂は割安だけどいつも混んでいるし、毎日外食していたら出費がかさんでしまう。  面倒だけど1週間に一度まとめて料理を作り、それで生活をしているのだ。今日はまだ週が明けた翌日だからマシだけど、金曜日になるとほぼ空っぽの冷蔵庫の材料で作っているので、人に見せられる代物ではない。1週間の量を見誤ると、金曜日はおにぎりだけなんてこともある。  コーヒー以外にも豊富に揃えられたドリンクの中からお茶をいただく。
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