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プロローグ
ちょっと待って! これはどういう状況⁉
私は寝室のベッドに組み敷かれ、超絶イケメン社長様、いや右京様に見下ろされている。
そして、上から右京の顔が私に近づいてくるではないか。
「ちょ、ちょちょちょ。社長‼」
「ん? 呼び方間違ってるぞ」
「右京! 待って、なんでこんなことに⁇」
「俺は十分待ったぞ」
「そうじゃなくて、私達は婚約契約ですよね?」
「今度はしゃべり方までおかしくなってる。婚約の契約だから、いずれは結婚するってことだろう?」
「そんな。話が違う‼」
「一緒に住んで一カ月、契約を解消する理由は全くなかった。もういいだろう?」
「良くない!」
「何が問題だ? 莉子も俺のことをかなり意識してるじゃないか」
「……」
そうなのだ。最初は契約を解消してもらうことしか考えていなかったのに、一カ月で情が湧いてきた。いや、愛情が芽生え始めている。いや、もう芽生えるどころか成長している。
でもその分、身分の違いも痛いほど感じていて、素直になれない自分がいるのだ。
そこへ右京が強硬手段を打ってきた。
「もう素直になったらどうだ? 俺は莉子を諦めるつもりはないし、莉子も少なからず俺を意識している」
「……」
言い返す言葉が見当たらずに黙り込んだところへ、右京の唇がとうとう私の唇に重なった。
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