髪洗い

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 翌々日、衣服の件から発展してラプンツェルの髪洗いを決行した。  魔法で清潔さは保てるとは言え、偶にはちゃんと洗いたいし、この日は気持ちの良い晴天。  気温も高いので、水浴びと洗濯を兼ねることにした。  塔より程近い川の畔、お互い肌着一枚のみでシーツや着ていた服を豪快に洗い、それを乾かしている間に二人で入水。  キャッキャッとはしゃぎながら、自家製の石鹸で異様に長い髪を洗い流した。 「ララの髪は本当に綺麗ね…」  年季の入った櫛で梳きつつ、金糸のような髪を愛でる。  手間ではあるが、これも親子のスキンシップだ。  髪を梳かしながらあれこれお喋りをして、どんな喧嘩も悩みも解決してきた。 「私はお母さんみたいな黒が良かった!」  垢擦りで腕を洗いながら、ラプンツェルは何処か不満げ。 「あら、嬉しいこと言うじゃない?」  金の髪から水気を絞り、マリアは悪戯な笑顔を見せる。  最後に折角洗った髪が汚れないよう、特性の長いタオルで巻き上げていた時だった。 「ねぇ、お母さん…」 「ん〜?」 「私、お母さんの本当の子供じゃないんでしょ?」  あまりにも唐突だった。  思わずマリアは手を止め、言葉を失った。 「前から髪の色とか顔立ちとか似てないから変だとは思ってたんだけど…、この前の大公様との話をちょっと聞いちゃって…。それからお母さんの日記も読んだ」  自嘲気味に肩を竦め、ラプンツェルは困ったように哀しく笑みを零す。  マリアは戦慄した。  写真がまだ無いこの世界で娘との思い出を遺しておきたくて、長年綴っていた日記があった。  時には下手なりに絵を描いたりしながら、いつか王子と結ばれて彼女が手元を離れた時、自身が淋しくならないようにと―――…。
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