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ピンポン
ピンポンピンポンピンポン
激しい連打が部屋から玄関までドア一枚隔てただけのワンルームに矢のように降り注ぐ。
いや待て。何だこれ。普通じゃない。
恐怖でサッと血の気がひく。
普通はピンポン押しても一回だろ。二回押すとしてもちょっと間を置くし、スタートから連打っておかしい。
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
マジでこれってかなりヤバくないか。今、よそ様のピンポンを早押しクイズみたいに押す変態がうちの前にいる。
ていうか、総合的に考えて絶対おかしい。さっきのスマホにしろインターホンにしろ、いつにない異常がいっぺんに起きてる。何これ?俺何かした?そう思うそばから再びスマホも震えだす。
ピンポンピンポンピンポンピンポン
ブルブルブルブルブルブルブルブル
ピンポンブルブルピンブルポン
嘘だろ、変なラップみたいになってるじゃん。
恐怖でスマホをベッドに放り投げるけど、ピンブルラップは止まらない。
どうしよう。どうしていいかわからない。とりあえず玄関見てみるか。
たぶんパニックでおかしくなっていたんだろう。泣きそうになりながらドアの魚眼レンズを覗くと、レンズいっぱいの瞳孔が見えた。これはつまり、向こうも俺を覗いてる?
「うわあぁっ」
恐怖で絶叫した俺は首の後ろに微かな痛みを感じ、そのまま意識を失った。
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