ブーゲンビリア 【終活】

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「お〜い!由希子!お〜い!!あれどこに あるんだ?!......ゆき.........」 そうだ、あいつはもういないんだっけ......。 そう、半月前に五十年連れ添った女房が 他界してしまった。 急に俺を置いて逝ってしまったのだ。 「私は、あなたより長生きするから あなたを見送ってあげるから」 などと笑いながら言っていたあいつ...... 前日まで元気に家事をこなしていた。 あの晩、いつものように布団にはいったのに 何と!翌朝には冷たくなっていた。 妻は俺と同い年の75歳...就寝中の急性心不全だった。 夜中に俺がトイレに起きた時には 既に息絶えていたのかもしれない...... 由希子とは見合いで知り合った 若い頃の由希子はとても美人で、 「なぜ、こんな綺麗な人が見合いなんか するのか、彼氏などはいないのか?」 などと当初は不思議に思った程だった。 後からあいつに聞いたのだが 「言い寄ってくる男性は全然居なかった」 と言っていた。当時としては裕福な家の お嬢様で周りにいた男達も『高嶺の花』といった感じであいつを見ていたのかもしれない 見合いをした当日に俺は由希子に一目惚れを してしまい、見合い前日まで全然乗り気じゃ なかった俺が話を持って来てくれた叔父にすぐ、 「嫁にもらいたい」と懇願していた。 由希子は当初、「結婚なんて」と俺との話を 断ろうとしていたらしい だが、見合い後の俺の猛烈アタックに 根負けしたらしくOKを出してくれた。
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