ブーゲンビリア 【終活】

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一年程付き合ってから結婚をした。 子供もひとり、娘を授かった。 娘も由希子に似てとても美人で俺に似ないで 良かったと思っている。 しかし娘は「お父さんに似ている」と よく言われるらしいのだがそう言われると 必ず全否定! 「私は母さん似なのよ!」 と、むきになって言い返す始末だった。 まあ、それはそれでいいのだが......... ちょっと寂しい俺だった。 娘が結婚してからまたふたりの生活に 戻った時、 「私達もまだまだこれからよ、人生100年時代 それまではまだ何十年もあるんだから よろしくね」 などと言っていた。 思い返せば、仕事一筋にやって来た俺、 由希子に子供のこと、家庭のこと 全て任せっきりだった。 そんな中でも愚痴のひとつも言わずに 俺を支えてくれていた。 当時の俺は給料を稼いで来てるのだから... などと勝手に思い込んでいた。 今更、あの時に...... などと思ってみても、もう由希子はいない... 罪悪感に苛まれながら あいつの遺品を整理する。 由希子の持ち物すべてが思い出としてその光景が 脳裏に浮かんでくる。 由希子の怒った顔、由希子の笑顔、由希子の泣き顔...... ふと気がつくと俺の目から雫が落ちていた。 由希子が逝ってから初めて泣いた。 由希子が大切に育てていた鉢植えの植物 名前は何度か聞いた覚えがあるのだが 忘れてしまった。 しかし、買ってきた頃よりはだいぶ伸びて 来ていた。由希子も毎日世話をしていて その鉢植えに話しかけていたのを 思い出しそれを抱えて声をあげて泣いてしまった。 いつだったか、由希子と終活の話をした事が あった。 「あなた、私達長生きするとしても 身の回りはある程度整理していかなくちゃね」 「そうだな、何があるかわからないからな 明日俺がポックリ行くかもしれないしな」 どんなきっかけでその話になったのかは 覚えていないが...あいつの物を整理する日が こんなに早く来るとは思いもよらなかった。
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