ブーゲンビリア 【終活】

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整理するといっても お互い元気な時ならば『あれは要らない』 『これは置いておこう』と言い合えるのだが ひとりでやるとなると 裁縫針一本でも思い出になり全てにおいて 処分など出来ない...... 「どうしようか......」 鉢植えに話しかける......が返事が返って来るはずもなく部屋の中がただ散らかるだけだった。 「まずは自分の物を整理するか」 と片付け始めるのだった。 整理というより部屋の中を散らかしている だけのような感じに思える。 そんな時急に 「父さん!なに!この散らかり要は!」 娘が突然来たのだった。 乱雑にとっ散らかっている部屋を見渡して 驚きの声をあげながら部屋の入り口に 立っていた。 「玄関で父さんを呼んでいたのに返事がないから 心配したじゃ無いの!」 「そうか、わからなかったよ御免、御免。 いや、母さんの遺品を整理しようと思って やっていたんだが整理どころか 片付けられなくなってしまったんだ」 「まったく〜父さんったら〜 今まで何でも母さんに頼りすぎてたから でしょ!」 「.........」 「でもね、私も気になっていたんだ、 私も母さんの着物とか形見として貰いたかったし」 そう言いながら娘が鉢植えに目をやり 見つめながら言った。 「ブーゲンビリア......母さんの好きな花...... 蕾がたくさん付いてもうすぐ咲いてくるわね 母さん花が咲くの楽しみにしていたからね それにしてもだいぶ伸びて大きくなって来たわね 花が咲き終わったらもう少し大きな鉢に植え替え してあげないとね」
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