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3・騎士様登場
まず、最初に言わせて欲しい。
本当に、ここどこ。
自称神様とやらのせいで二度目に落とされた穴の底は、先ほどまでのような不思議空間ではなかった。
石造りの柱に、床。壁にはところどころ明かりがかけられていて、ぽうと橙色に光っている。
ぱっと見るかぎり、まるでどこかの神殿のようだ。
どことなく空気がひんやりとしているのは、水場があるせいだろう。
何せ、私の周りは水だらけだ!
どういうこと!?
厳密に言えば、部屋(?)の中に浅瀬の池のようなものがあり、その中央に建っている石像の台座の上に私はいた。
うわ、見上げてよくよく見てみればこの石像、さっきの自称神様と同じ顔じゃん。最悪。
『最悪とはなんだ! 最悪とは!』
「うわっ!」
石像が喋った!
石像の口が動いているわけでは無いのに、石像から声が聞こえる。
すごく不思議だ。
信じられなくて石像をまじまじと見ていると、ふぅ、とため息をつかれてしまった。
いやいや、ため息をつきたいのは私の方だから。
『せっかく君のために環境を整えてあげたというのに』
「はぁ?」
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