3・騎士様登場

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 私が焦ってわたわたしている間にも、青年はこちらに向かって走ってきている。 「わわわ、私は怪しいものじゃありませんよーー!」  そう言っている時点で十分怪しいことは自覚しているが、他に弁明の言葉が思いつかなかった。  ふくらはぎの位置まで濡れてしまうにも関わらず、青年は躊躇(ためら)いもなく浅瀬に足を突っ込んでこちらに向かってくる。  青年の騎士のような格好が、ブーツが濡れる。  やめてー!  来ないでー! 「ごごご、ごめんなさいいい!」  私は思わず石像にしがみついて、意味もなく謝罪の言葉を口にする。  そんな間抜けな私の姿を気にする様子もなく、私の前までたどり着いた青年は何故か(ひざまず)いた。 「よくぞおいでくださいました、神子(みこ)様。あなたのことは、命にかえても俺がお守りいたします」 「……へっ?」  あまりに想定外な事態に、私はキョトンとしてしまう。  だってそうでしょ、いきなり現れた人が跪いてきたら誰だってびっくりするでしょ?  というか、神子様? 何を言われているのか意味がわからない。  それよりあなた、誰ですかーー!?    
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