4・神子様(笑)

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 この青年のおかげか安定感はあったものの、怖いものは怖い。やっぱり人間、地に足をつけて生きていくべきだわ……。うん。 「神子様、ようこそおいでくださいました」  ほっと息を吐いていたら、目の前の男性二人がいきなりそれぞれの胸に片手を当てて頭を下げてきた。私に向かって。  思わずぎょっとしてしまう。 「あ、あの、神子様……って?」  神子様って一体なにごとなんだ。  完全にファンタジー世界じゃないか、これ。  完全に人違いでしょ、これ。 『神子様』などといった特別な呼称をいただくにしては、私の容姿は普通すぎて釣り合わない。  そんな神々しい呼び名が相応しいのは麗しき超絶美女であって、平々凡々な童顔低身長に対して『神子様』は違和感しかないと思うんだ。うん。 「昨夜、ルーチェ様が夢枕に立たれ、私に告げられました。ルーチェ様が選ばれた娘が異世界より現れ、この国に祝福を与えると……」 「は……?」    ブロンドの男性が放った言葉に、私はあんぐりと口を開けてしまう。  国に祝福を与える、だって?  そんな話は聞いていない。  話がなんか勝手に大きくなっていませんか?
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