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5・騎士様と神官様と神様と私
私が『神子様』であることになんの疑いももっていないらしい男性二人は、きらきらとした眼差しをこちらに向けてくる。
ここで私が神子じゃないと否定したところで何になるだろう。
下手をしたらある種当然の扱いである不審者とされて、身の危険が増すだけじゃないか?
そうなったら、ブロンドの男性が青年に、私を切り殺せと命じるかもしれない。だってあの青年、剣を身につけているし……。
ブロンドの男性は穏やかそうに見えるが、穏やかそうな見た目だからといって優しい人だとは限らないだろう。
さすがに私も自分より体格のいい男性二人から逃げ切れる自信はない。
それでなくとも、よく分からない自称神様だけでもう既に手一杯だ。これ以上の厄介事は極力避けたい。
となると……。
笑って誤魔化すしかない……。
「あ、はははは……」
もはや乾いた笑いしか出ないし、顔がひきつっている自覚はあるがこれが精一杯だ。勘弁して。
「面白い神子様ですね」
ブロンドの男性は私の様子を見てにこにこと微笑んだ。
あ、馬鹿にしてる? それとも天然か?
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