1・始まりは衝突で

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1・始まりは衝突で

 世の中、努力だけではどうにもならないことがある。  例えば、顔。  こればかりは整形でもしない限りどうにもならない。化粧という手もあるが、あいにく私はそれほど得意な方ではない。  例えば、身長。  厚底でも履けばごまかせるかもしれないけど、切ないよあれ。ついでに、慣れない高さの靴なんか履いたらすっ転ぶ未来しか見えない。  ……つまるところ。  私、立花葵(たちばなあおい)は、平々凡々な顔立ちでどちらかと言えば童顔の、148cmのちびってことだ。  じーっと鏡に映る自分を見る。  肩で切りそろえた茶色の髪と茶色の瞳。動物に例えるならたぬきだ、と友達に口を揃えて言われたのは記憶に新しい。  ――高校こそは! 先輩扱いしてもらえる先輩になるんだ!  中学3年生のとき、後輩から小学生に間違われたことはなかなかに苦い思い出だ。  赤いリボンをきゅっと結ぶ。ジャケットよし、スカートよし……。    今日から高校二年生になる。  今日から、先輩になる。  前向きで元気なことしか取り柄は無いけど、それでも今日から二年生だ!
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