5・騎士様と神官様と神様と私

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 目の前のジェラルドさんは、噛み締めるように私の名前を何度も呟く。 「タチバナ、アオイ……。タチバナアオイ様……。さすが異世界から来られた方ですね。響きが独特だ」  うん、でしょうね。  私だって、ニコラスさんにしてもジェラルドさんにしても、名前の響きが外人さんにしか思えないから。なぜか、バリバリ日本語で会話が通じているのが不思議ではあるけど。   「では、タチバナアオイ様とお呼びいたしますね」  いや、フルネームで様付け⁉︎  恥ずかしい! 「あ、葵が下の名前なんで、できればそっちだけでお願いします。ジェラルドさん……」  なんかもう、非現実すぎてどうでも良くなってきた。  もうこれ、夢でしょ?  むしろ夢じゃないと受け入れきれない。  半ばやけ気味に訂正すると、ジェラルドさんはなるほどと頷いた。 「わかりました。アオイ様ですね」  やっぱやめて、恥ずかしい。  こんなイケメンに様付けされる経験なんて、当然ながら生まれて初めてでどうにもこうにもいたたまれない。 「神殿騎士の名にかけて、アオイ様の御身は俺が必ずお守りいたします」  ジェラルドさんはスッとその場に跪く。そして私の手をすくい上げると……私の手の甲にキスを落とした。
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