134人が本棚に入れています
本棚に追加
さらっと気負わずに格好良いことをやってのける。
はっ! まさかあれか⁉︎
まさかこの騎士様、天然タラシ⁉︎
衝撃の事実かもしれないものに思い当たった私は、思わず足を止めた。
「どうしました? 何か気になるものでもありましたか?」
「……なんでもありません」
不思議そうにこちらを振り返って様子をうかがってくるジェラルドに、私はひきつった笑みを向けることしかできなかった。
再び、用意されている私の部屋とやらに向かって歩みを進める。
「それにしてもこの神殿、広いですね……」
先ほどまでいた水場のある部屋は、どうやら地下だったらしい。
チラとジェラルドから聞いた話では、あの地下の祭壇で神官(ニコラス)がルーチェ様(つまりあの頭の可哀想な神様)に祈りを捧げているそうだ。
その部屋を出て、階段を上り……。現在は赤い絨毯の敷かれた廊下を歩いていた。
窓からは西日が差し込んでいて、今が夕刻なのだとようやく気づく。
私の感覚ではついさっきまで朝だったから、少し違和感を感じてしまう。
「ええ。ここには俺たち神殿騎士も暮らしていますから」
最初のコメントを投稿しよう!