1・始まりは衝突で

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 高校でこそは、先輩らしくなれるように頑張ろう! 「いってきまーす!」    私は学生カバンを手に持つと、元気よく自宅を飛び出した。 「うわ、きれーい」  高校へと続く見慣れた通学路には、桜並木が広がっていた。  左右の道沿いに植えられた桜からひらひらと花びらが舞い落ちて、幻想的な風景が作り出されている。  アスファルトに薄桃色の花びらが散っていて綺麗だ。   「あ!」  視界に広がる花びらの隙間から見覚えのある姿が見えて、私は思わず声を上げた。  少し先を歩いているのは、幼なじみの絵里だ。  小中高と同じ学校に通う絵里とは大の仲良しだった。  絵里に話しかけようと私は足を早める。  しかしその瞬間――。   「絵里ー、おはよ――ってうわっ!?」  体が何かとぶつかった。  ……ちょっと待って?  私の前には何も無かったはずだ。  桜の舞う、いつもの通学路。通勤通学にはまだ少し早い時間で周囲の人はまばら。ぶつかるようななにかなんてなかった。  ……あれ?  なんだか、足元の感覚がおかしい気がする。  私は、硬いアスファルトの地面に足をついていたはずだ。
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