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高校でこそは、先輩らしくなれるように頑張ろう!
「いってきまーす!」
私は学生カバンを手に持つと、元気よく自宅を飛び出した。
「うわ、きれーい」
高校へと続く見慣れた通学路には、桜並木が広がっていた。
左右の道沿いに植えられた桜からひらひらと花びらが舞い落ちて、幻想的な風景が作り出されている。
アスファルトに薄桃色の花びらが散っていて綺麗だ。
「あ!」
視界に広がる花びらの隙間から見覚えのある姿が見えて、私は思わず声を上げた。
少し先を歩いているのは、幼なじみの絵里だ。
小中高と同じ学校に通う絵里とは大の仲良しだった。
絵里に話しかけようと私は足を早める。
しかしその瞬間――。
「絵里ー、おはよ――ってうわっ!?」
体が何かとぶつかった。
……ちょっと待って?
私の前には何も無かったはずだ。
桜の舞う、いつもの通学路。通勤通学にはまだ少し早い時間で周囲の人はまばら。ぶつかるようななにかなんてなかった。
……あれ?
なんだか、足元の感覚がおかしい気がする。
私は、硬いアスファルトの地面に足をついていたはずだ。
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