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こそこそと囁いてきたエルミナさんが見ている方へ視線を向けると、庭の隅に屈強な神殿騎士が数人いた。
「騎士服の上から見てもわかる、鍛え上げられた身体……。胸筋をツンツンしてもいいかしら。ああ、あっちの人のあの上腕二頭筋にぶら下がってみたい……。はぁ、ここの騎士たちってかっこいいわぁ……」
エルミナさんはうっとりと神殿騎士を見つめている。
どうやら特定の騎士が好きというわけではないらしい。
たまに神殿へ来てくれる理由って、もしかして私に会いに来ているだけではなく、神殿騎士を見るため……?
新たな疑惑が生じて少し首を捻っていると、ふとエルミナさんから視線を感じた。
「だからアオイちゃん、私のことは気にせずに、ジェラルド様と幸せになって」
優しい瞳を私に向けてくるエルミナさんに、何も言えなくなる。
その言葉は確実に本心だと分かるから、私は静かに頷いた。
「……はい」
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