63・悪天候

1/3
前へ
/321ページ
次へ

63・悪天候

 エルミナさんとお茶会をした日からさらに二日が経った。  この二日間、やけに天気が悪い。  二日前の夜から降り出した雨が、一向に止む気配を見せないのだ。  私は神殿の廊下から外を眺めながら、ジェラルドに尋ねた。 「ねぇ、ジェラルド。この国って雨が多いの?」 「いえ……。ルーチェ様の御加護のおかげで、天候も気候も安定しているはずです」  ジェラルドもこの雨を訝しんでいるようだった。  何せ、降り方が異常だ。  バケツをひっくり返したような大雨が、この二日間降り注いでいる。 「ですが……この振り方は困りましたね……。このままでは、街に浸水被害が出るかもしれません」  ジェラルドは顎に手を当てて、眉根を寄せて雨を見つめていた。  この世界に来たばかりの頃、ジェラルドにこの国について説明してもらったことを思い出す。    この国は、小国な上に水災害に見舞われることが多いが、あの神様の加護があるから人命に対する被害は少ないのだと。  でももし、神様の力が奪われていたらどうなるのだろう。    神様は、私が神殿に戻ってきた夜以降、私の夢にも現れない。
/321ページ

最初のコメントを投稿しよう!

135人が本棚に入れています
本棚に追加