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63・悪天候
エルミナさんとお茶会をした日からさらに二日が経った。
この二日間、やけに天気が悪い。
二日前の夜から降り出した雨が、一向に止む気配を見せないのだ。
私は神殿の廊下から外を眺めながら、ジェラルドに尋ねた。
「ねぇ、ジェラルド。この国って雨が多いの?」
「いえ……。ルーチェ様の御加護のおかげで、天候も気候も安定しているはずです」
ジェラルドもこの雨を訝しんでいるようだった。
何せ、降り方が異常だ。
バケツをひっくり返したような大雨が、この二日間降り注いでいる。
「ですが……この振り方は困りましたね……。このままでは、街に浸水被害が出るかもしれません」
ジェラルドは顎に手を当てて、眉根を寄せて雨を見つめていた。
この世界に来たばかりの頃、ジェラルドにこの国について説明してもらったことを思い出す。
この国は、小国な上に水災害に見舞われることが多いが、あの神様の加護があるから人命に対する被害は少ないのだと。
でももし、神様の力が奪われていたらどうなるのだろう。
神様は、私が神殿に戻ってきた夜以降、私の夢にも現れない。
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