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神様の話を聞く限りでは、力の大半は既に国王様の元。残っているのは私の体に溜めたもののみ。
その上、国王様の方が「神の力に乗っ取られ」ようとしているなら?
そもそもこの雨は、もしかしてあの神様の力が奪われている影響だったりするのだろうか。
――なんか……嫌な予感がする。
考えれば考えるほど、不安になってくる。
ジェラルドはそんな私の肩をそっと抱き寄せた。
「アオイ様、大丈夫ですか」
「……うん」
そんな時だ。廊下の向こう側から、ニコラスが慌ただしくこちらへ向かってきたのは。
「神子様、ジェラルド! 大変です!」
「どっ、どうしたの!?」
普段落ち着いているニコラスが、見たことがないほど焦った様子で駆けてくる。
外に出ていたのだろうか。ニコラスの緩やかなブロンドが濡れている。
ニコラスは私たちのそばまでやってくると、膝に手を当てて荒い息を吐いた。
「国王陛下が……。陛下がお一人で城から居なくなられたそうです……!」
「ええ!?」
一体どういうこと!?
途切れ途切れに放たれたニコラスの衝撃的な言葉に、私もジェラルドも目を見開いた。
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