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国王様は、本来不可侵である神子を誘拐(?)した件で、臣下の方々から事情確認されているところだと聞いていた。
しかし、国王様の体調が芳しくないせいであまり進んでいないのだと。
そもそも国王様は、口から血を吐くような状態のはずだ。こんな雨の中、城から一人でいなくなるなんて無茶だ。心配でしかない。
「兵士たちが城中探したそうですが見当たらず……。街の捜索を始めるそうで、神殿騎士にも協力要請がありました。ジェラルド、指示の方をよろしくお願いします」
「はっ、承知いたしました」
「ジェラルド……っ」
何だか、胸騒ぎがする。
思わずジェラルドの服の裾を掴むと、ジェラルドは私を安心させるようににこりと微笑んだ。
「大丈夫です。騎士たちに指示を出したらあなたの元へ戻ってきます。俺は、アオイ様を守ることが務めですから」
私は部屋にいるようにと言って、ジェラルドもニコラスもばたばたと駆けていく。
おそらく、騎士たちに国王様捜索の指示を出しに行くのだろう。
私は二人の姿を見送りながら、高まっていく不安な気持ちを抑えるように、胸の前でぎゅっと拳を握りしめた。
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