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64・地下祭壇
国王様が行方不明になったとの知らせを受けてから一時間が経過した。
国王様の姿が発見されたとの報告はなく、私は自室の窓から外の景色を見つめていた。
雨は止む気配がなく、土砂降り状態が続いている。
遠くに見える空も、海も、淀んだ色をしていて不吉だ。
――国王様、どこに行ったんだろう……。
ただでさえ国王様は体調が悪いのだから、こんな大雨の中を出歩いては悪化するかもしれない。
早く見つかって欲しいのだけど……。
「神子様、今よろしいですか?」
声とともにノックが聞こえて、私は扉に駆け寄った。
部屋の外に立っていたのは、ニコラスとジェラルドだった。
二人とも、重たい表情を浮かべている。
「うん、国王様は見つかった?」
私が聞くと、ニコラスは目を閉じてゆるりと首を横に振った。
「いえ、残念ながらまだです」
「そっか……」
ニコラスは確か、昔王族の家庭教師をしていたと言っていた。
ジェラルドが教え子なのだから、国王様とも昔からの付き合いである可能性が高いだろう。
ジェラルドは言わずもがな、国王様はお兄さんだ。
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