64・地下祭壇

2/4
前へ
/321ページ
次へ
 二人とも、私以上に国王様のことが心配だろう。 「ただ……街では浸水被害が出始めておりまして……。それで、私は神官として日和乞(ひよりご)いを行おうと思うのですが、神子様もご一緒にいかがかとお誘いに来たのですよ」 「日和乞い?」  聞き馴染みのない言葉に私が首を傾げると、ジェラルドが教えてくれた。 「晴天を願って祈りを捧げることを日和乞いと言うのですよ」  なるほど。雨乞いなら聞いたことがあるが、その反対に晴れを乞うということか。 「わかった、私も一緒にお祈りしたいな」  国王様の捜索は騎士団や兵士たちが手を尽くしてくれるだろう。  同じように私も、私に出来ることをしたい。  ◇◇◇◇◇◇  ニコラスは地下の祭壇で祈りを捧げるらしい。  私がこの世界に落とされた、最初の場所だ。  ニコラス先導のもと、ジェラルドと共に地下へ続く階段を降りていく。  久しぶりに立ち入った地下祭壇は、最初の時と同様にひんやりとした空気が漂っていた。 「ニコラス、日和乞いってどうやってやるの?」 「水場で祈りを捧げるのですよ。ただ、濡れてしまうので神子様はそちらで結構ですよ」
/321ページ

最初のコメントを投稿しよう!

135人が本棚に入れています
本棚に追加