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二人とも、私以上に国王様のことが心配だろう。
「ただ……街では浸水被害が出始めておりまして……。それで、私は神官として日和乞いを行おうと思うのですが、神子様もご一緒にいかがかとお誘いに来たのですよ」
「日和乞い?」
聞き馴染みのない言葉に私が首を傾げると、ジェラルドが教えてくれた。
「晴天を願って祈りを捧げることを日和乞いと言うのですよ」
なるほど。雨乞いなら聞いたことがあるが、その反対に晴れを乞うということか。
「わかった、私も一緒にお祈りしたいな」
国王様の捜索は騎士団や兵士たちが手を尽くしてくれるだろう。
同じように私も、私に出来ることをしたい。
◇◇◇◇◇◇
ニコラスは地下の祭壇で祈りを捧げるらしい。
私がこの世界に落とされた、最初の場所だ。
ニコラス先導のもと、ジェラルドと共に地下へ続く階段を降りていく。
久しぶりに立ち入った地下祭壇は、最初の時と同様にひんやりとした空気が漂っていた。
「ニコラス、日和乞いってどうやってやるの?」
「水場で祈りを捧げるのですよ。ただ、濡れてしまうので神子様はそちらで結構ですよ」
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