64・地下祭壇

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 そう言うとニコラスは、部屋の中央にある浅瀬の水場へ躊躇なく入っていく。  神様の石像の前で足を止めると、その場で両膝をついた。  ここからでは聞き取れないが、何か呪文のようなものを口にしていることだけはわかる。 「見よう見真似で大丈夫ですよ。神子様は我々とは異なり、神に選ばれたお方なのですから」  隣にいるジェラルドが私を励ますように言ってくれる。だが、申し訳ない。私はうっかり神様にぶつかられただけで、そんな大層な人間じゃないはずだ。  でも……。  私は神様から力を託された。  願いを託された。  私に出来ることがあるはずなのだ。  ジェラルドは入口を見張るためか、私たちから離れていく。  私は水場の手前までいくと、ニコラスの姿を真似て両膝をついた。  目を閉じ、両手を組みあわせて、ただ祈る。  雨が止んで、国王様が見つかりますように。  そして、神様の力を取り戻せますように……と。  その時だった。  上階の方から、なにやら騒がしい声が聞こえてきたのは。 「う、うわああぁっ!」
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