136人が本棚に入れています
本棚に追加
ジェラルドは警戒するように剣を構えていた。私とニコラスを守るように立つ。
「神子よ……。お前のせいで私の計画はめちゃくちゃだ」
「計画……?」
「神の力をもち、神子をそばに置くことで私は誰からも認められる王となるはずだったのに……」
国王様は低く怒りを孕んだ声で言いながら、赤い宝石のついた杖の先端をぱしりと自身の手のひらに打ち付けている。
国王様が酷く苛立っているのが、私にも伝わってきた。
「それがどうだ。お前が逃げたせいで私は、臣下たちから神に手を出した愚王と蔑まれる始末。このままでは私は、王の座から引きずり下ろされるだろう」
「……っ」
「元々、臣下の大半も貴族たちも、ジェラルドを王にしたい連中ばかりだからな。ちょうど良い口実ができたと思っているのだろうよ」
国王様はくつくつと笑っている。
だが、その冷えた瞳からは憤りが感じられた。
私があの森の屋敷から逃げたあと、城でどのように国王様へ事情確認がされたのか、私には分からない。
だけれど、それは国王様の劣等感を余計に刺激する形になったのは想像に難くなかった。
最初のコメントを投稿しよう!