65・神子の祈り

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「それは自業自得でしょう。そもそも俺は、玉座になど興味はありません」  ジェラルドが真っ直ぐに国王様へ向かって言い放つ。  あああ……。ジェラルド、それ余計に国王様を怒らせるだけだから。  正直なのはジェラルドのいいところだし、好きなんだけども……。 「……っ、この私が、喉から手が出るほど欲しいものを簡単に手に入れられるくせに……。お前というやつは!!」  案の定、ジェラルドの一言は国王様の逆鱗に触れたらしい。  国王様の纏う黒いオーラが、ぶわっと広がる。  私たちの様子を少し離れて伺っていた騎士や兵士たちが、オーラに弾き飛ばされていく。  ――あのオーラって、やばくない!? 『やばいともさ!! あの国王、完全に僕の力に呑まれるぞ!』  どこからか神様の声が聞こえたとほぼ同時、国王様を中心に、ぶわっと強く風が巻き起こった。  私の後ろにあった水辺までが風に煽られて、不自然に波立つ。   「神子殿も、ジェラルドも……。お前たちが私の前にいなければ、こんなに苦しむことはなかったはずだ!」  国王様はジェラルドに向かって横なぎに強く払った。
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