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「それは自業自得でしょう。そもそも俺は、玉座になど興味はありません」
ジェラルドが真っ直ぐに国王様へ向かって言い放つ。
あああ……。ジェラルド、それ余計に国王様を怒らせるだけだから。
正直なのはジェラルドのいいところだし、好きなんだけども……。
「……っ、この私が、喉から手が出るほど欲しいものを簡単に手に入れられるくせに……。お前というやつは!!」
案の定、ジェラルドの一言は国王様の逆鱗に触れたらしい。
国王様の纏う黒いオーラが、ぶわっと広がる。
私たちの様子を少し離れて伺っていた騎士や兵士たちが、オーラに弾き飛ばされていく。
――あのオーラって、やばくない!?
『やばいともさ!! あの国王、完全に僕の力に呑まれるぞ!』
どこからか神様の声が聞こえたとほぼ同時、国王様を中心に、ぶわっと強く風が巻き起こった。
私の後ろにあった水辺までが風に煽られて、不自然に波立つ。
「神子殿も、ジェラルドも……。お前たちが私の前にいなければ、こんなに苦しむことはなかったはずだ!」
国王様はジェラルドに向かって横なぎに強く払った。
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