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それだけで、杖から衝撃波のようなものが発生してこちらに向かってくる。
「く……っ」
ジェラルドは咄嗟に剣で衝撃波を受け止めた。
謎の衝撃波に対処出来ているのは、さすがはジェラルドと言うべきか。
だがさすがに厳しそうな様子で、圧されているのが明らかだった。
「ジェラルド……っ!」
国王様は、無茶苦茶に杖を振るっている。
それに対して、ジェラルドは後ろに私たちがいるということもあってか防戦一方だ。
「……っ」
杖から放たれた無数の衝撃波の一つが、ジェラルドの右腕を掠めた。
騎士服がひとすじ破れ、そこからじわりと血が染み出ている。
――嫌だ。
ジェラルドが傷つけられる様を見て、私は何も考えられなくなってしまった。
「どうした、このままだとお前を殺してしまうぞ?」
そう言う国王様だって、口の端から血を垂らしているというのに。ニタリと笑いながら、ジェラルドに向かって杖を向け直す。
――嫌だ。
私は堪えきれなくなって、両手でこめかみを押さえた。
頭がガンガンする。
心臓がばくばくと早鐘を打って、上手く呼吸が出来ない。
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