109人が本棚に入れています
本棚に追加
いつか、後悔すると思う。
私のこの決断は、育ててくれた親や、友だち、元の世界での暮らしを全て捨てることを意味する。
『いいや。身勝手で愛おしい……僕の神子だ』
神様の声は嬉しそうだった。
姿は見えないが、きっと見えていたら神様は、泣きそうな笑顔をしているに違いない。
『君に、僕の加護を与えよう。この世界で君が幸せに生きられるように』
ふわりと、私の周囲をきらきらとした光が舞った。
祝福するかのような温かな光が、私を包んで消える。
『君はこれからも、僕の神子だよ。僕の姿は見えなくても、たまにはここで僕と話そうじゃないか』
「……ありがと。神様の話し相手くらいにはなってあげるね」
姿が見えなくなって、同化が解除されても、私は忘れない。
この世界の神様が、とても優しくて、でも子どもっぽくて、神様らしくなくて……。だけど、誰よりも人間を愛しているということを。
この神様の存在に励まされたから、ここまで頑張れたということを。
最初のコメントを投稿しよう!