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67・私の居場所(最終話)
『しかし……君の決断を騎士は知っているのか?』
「……まだだけど?」
異世界に残る選択をしたのは私の責任だ。
残る決断をした一番大きな理由はジェラルドなのだけど、ジェラルドに私の決断の責任を負わせたくなかった。
少し落ち着いてから話そうかな、と思っている。
だから、ジェラルドが私の部屋に来るよりも早い早朝の時間帯にそっと抜け出してきたのだけど――。
「アオイ様!!」
地下に聞きなれた声が響いてハッと振り返る。
見れば、一直線にこちらへ向かって階段を駆け下りてくるジェラルドの姿があった。
どこか焦った表情をしている。
「じ、ジェラルドっ!?」
私は慌てて立ち上がるとジェラルドに駆け寄った。
「部屋にいらっしゃらなかったので探したんですよ! 俺に黙ってこんな場所に来られるなんて、まさか……元の世界に帰られるおつもりですか?」
「え」
私が元の世界に帰るか否かで悩んでいたことは、誰にも言っていないはずだ。
しかし、何か察するものがあったのだろう。ジェラルドはそういうところは鋭いから。
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