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ごにょごにょと言っていると、ジェラルドは私の腰へ腕を回してぐいっと上へ抱き上げた。
「本当ですか!? 嬉しいです」
「わわっ」
体がふわりと宙に浮く。
咄嗟にジェラルドの肩へ手を置くと、間近にジェラルドの幸せそうな顔があった。
――ジェラルドがそんな顔をしてくれるなら、私の選択はきっと間違いじゃない。
後悔はきっとするだろう。生まれてきてからあったすべてを捨てるのだ。しないわけが無い。
だけど、ジェラルドが傍にいてくれるなら、後悔を上回る幸福を手に入れられる。
「必ず俺が、あなたを幸せにします」
「……私も」
私だって、ジェラルドのことを幸せにしたい。
だからこの世界に残ったのだ。
元の世界にジェラルドを連れて帰っても、この人は要領がいいからきっとうまくやれるとは思う。
だけど、ジェラルドはこの世界で生きるべき人だ。
彼を必要としている人が、この世界にはたくさんいる。
ジェラルドには、神殿騎士団長として、時には王弟殿下(今は王子殿下?)として、この世界で生きて欲しい。
「アオイ様。俺はあなたのことを、お慕いしております」
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