2・神様殴っていいですか?

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「ま、待て待て待て! 今は君を元の世界に送り届ける力が足りないだけだ! 時期が来れば必ず元の世界に戻してやる! だから落ち着け!」 「……ホントでしょうね?」 「本当だとも! 僕は嘘はつかない!」    怪しい。  だが、信じるほかない。  諦めて息を吐き出した私に、神様はあからさまにほっとした顔をした。 「それまでの間、僕の世界にいるといい。歓迎する」 「僕の世界……?」  どこにあるというのだろう。その僕の世界とやらは。  急に穴に落とされて、目の前には自称神様の青年。今ならどんな不可思議なことでも受け入れられそうだ。  というか、今更だけど私、白昼夢でも見ているんじゃない?  絶対これ夢でしょ。 「僕の世界は、この空間の真下に存在する。君の世界はこの上だね。つまりここは中間」 「はぁ」  自称神様はつい、と指先で上やら下やらを示してくれる。  だが、あいにくここは上下左右真っ白な空間だ。分かりにくいにも程がある。 「上へ引き上げることは難しいが、下へ落とすことは簡単だ」    気の抜けた返事しかできない私を気にした素振りもなく、自称神様はパチンと指を鳴らした。
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